◎「こくり」

「ころくり」。(頭が)転(ころ)がりこれをすぐ繰(く)る(手前へ引く)ような動態を表現する。「こっくり」とも言う。頷(うなず)いたり、体が立ったまま眠気に襲われ、首が垂れてはもどり、垂れてはもどりを繰り返す動作を表現する擬態。

 

◎「こくり」(動詞)

「こけいり(転け入り)」。「こけ(転け)」はその項(1月31日)。自由運動に任せるような動態に入ること。「女房さらりとさりこくり」(「浮世草子」:これは女房を離縁したということ。あとはどうなろうと知ったことか、という心情で離縁した)。「叩かぬ(む)ばかりに叱りこくって追い出した」(「浄瑠璃」:叱り飛ばして、と同じような意味)。職を逐(お)われることも表現する。「納所坊主(ナッショバウズ:寺で施物を納める所の係りの僧)がたった今、寺をこくってこの先は…」(「歌舞伎台本」)。

 

◎「こくり」(動詞)

「こきくり(汲き抉り)」。こすることと抉(えぐ)り取ることを兼ねたような動作をすること。

「軽石と申し候ふ石にて静かにこくり候へば、毛抜きにて抜き候ふやうになり候ふ」(『山科家礼記』)。