◎「きづき(築き)」(動詞)
「くひつき(杭突き)」。杭を打ち込むことではありません。杭(丸太状のもの)で土を突き、突き固め、土台を作る(堤(つつみ)では突き固めること自体が成形になる)。これがその土台を基に何か(城その他)を作ることを意味した。
「天の下造らしし大神の宮奉(つか)へまつらむと、諸々(もろもろ)の皇神等(すめかみたち)宮処(みやどころ)に参り集ひて杵築(きづ)き給ひき、故(かれ)、寸付(きづき)といふ。神龜元年、字を杵築と改む:取造天下大神之宮将奉与諸皇神等参集宮処杵築故云寸付 神龜元年改字杵築」(『出雲風土記』)。
「城をきづく」。「土台をきづく」。
◎「ぎっちょ」
「ききキチャウ(利き記帳)」。左利きで、左手で、記帳することを「ひだりききキチャウ(左利き記帳)」と言い。それが「ひだりぎぎちょう」になり、になり、「ひだりぎっちょ」になり、「ぎっちょ」が独立した。左利きであること。左手で記帳することが珍しく、関心を引いたわけです。
◎「きづな(絆)」
「くひづな(杭綱)」。杭に繋いだ綱。これで馬などを留めておく。意味発展的に、人を何かに確かに、しっかりと、繋ぐ何かを意味する。
「御厩(みまや)の隅なる飼猿(かひざる)はきづな離れてさぞ遊ぶ、木にのぼり…」(『梁塵秘抄』353:古くは、厩(うまや)に猿を置いておく風習があった)。
「恩愛のきづな切りがたく」(『雑談集(ザフタンシフ)』)。
この「きづな」は漢字で一般に「絆(バン)」と書かれていますが、この字は『説文』に「馬縶也」と書かれる字ではありますが、この中国語は、絡みついたり、邪魔したり、足をかけたり(足をかけて倒したり)、躓(つまづ)いたり、といったことを意味します(つまり「きづな」と「絆(バン)」は意味が異なる)。