◎「おもし(重し)」(形ク)
「おも」は「おむよ…(臆むよ…)」。「おむ(臆む)」は動詞「おみ(臆み)」(→「おみ(臣)」の項・12月10日)の終止形。「よ」は感嘆発声。「おも」は「おむよ…(よ…)→おも」は、気後れしている思いを感嘆的に表明している。「おもし(重し)」はこの「おも」の形容表現。つまり「おもし(重し)」は、一般に対象の重力強度による圧倒を表現しますが、原意的には重力強度自体を表現しているわけではなく、それに対応することの思いの衰感、逆に言えば簡単・容易には対応できないこと、を表現することによりその強力性を表現した。「荷がおもい」。「おもい任務」。「病気がおもい」。「おもくるしい(重苦しい)」。「おもたい(重たい)」。「おもに(重荷)」。「おもみ(重み)」。動詞「おもり(重り)」(重くなる)。「おもり(錘)」。
◎「おもし(重石)」
「おもしひ(重強ひ)」。重さを強いるもの。たとえば漬物の「おもし」。
◎「おもかし」(形シク)
「おもけあし(重気悪し)」。重重(おもおも)し気な(深刻そうな)気(け)は悪しき気であり楽しくあらねばならない情況であること。『新撰字鏡』の「偉慶」の意味説明や読みに「賀也、幸也、福也」や「於毛加志 又宇礼志」とある。
◎「おもかぢ(面舵)」
船尾において舵(かぢ)が船外へ出、回転軸をへてその操作部が船内へのびる。船の進行方向を向いてその操作部の右側に立ち、操作部を向き、「おも(面)」の方へ押せば船は右へ進行する。これが「おもかぢ(面舵)」。手前へ引いて取り船が左へ進行するのが「とりかぢ(取舵)」。