「おととけ」は、「おととおきけ(音と置き「け」)」。あえて音(言語音)と置き(あえて言葉にし)「け」、の意。これが形容詞のように表現され、「おととけき」なら、あえて言葉にすれば「け」の、の意。この「け」は「け(異):その項参照:異常・特異であること」でもあるでしょうし、「ケ(怪):「怪」の呉音」でもあるでしょう。「怪(ケ)」は化物や怪物の意。つまり、変わっていて化物のようでもある、しかし直接にそう表現することははばかられ、あえて言うならば、のような表現になった。これは羅漢(ラカン。正式には阿羅漢(アラカン:仏道修行の最高段階に達した人))の像を表現したものです。それが異様なものだったのでしょう。「おととけし」という形容詞が一般的に広く用いられていたのかは疑問です(『類聚名義抄』(成立は1000年代後半かと言われる漢和辞書)の「偉」の読みに「オトトケシ」はありますが)。

 

「先に羅漢あり。形量(かたち)偉(おととけ)く大(おほき)なり」(『大唐西域記』)。