「おかちメンこ(御勝ち面子)」。「メンこ(面子)」は子供の遊具であり、歴史的にはさまざまなものがありますが、明治以降、「ボール紙(がみ)」と呼ばれる厚手の紙で作られた札状のものになります。遊び方は、複数の競技者がこの札状のものを地に置き、順番に自分の手札状のそれを地に叩きつけ、他者の札を風圧で裏返す。返れば返した者の勝ちとなり、返された札の持ち主は負けとなり、負け札は買った者のものとなります(他にもルールがある場合はある)。その場合、相手の札を裏返すことを「おこす(起こす)」と表現します。「おかちメンこ(御勝ち面子)」とは、お勝(ち)になる面子(めんこ)、という意味であり、けして起きない(負けない)面子(めんこ)、ということ。この「メン(面)」が「かほ(顔)」を意味し、「こ(子)」は愛称的なものとなり、「おかちメンこ(御勝ち面子)」は、けして起きない顔、という意味になります。何が起きないのかと言えば、男が「その気」が起きない(勃起しない、という意味もあるのかもしれません)。「おかちメンこ(御勝ち面子)」とはそんな顔だということです。この語が、後に、漠然と、変な顔、のような意味、それもほとんど攻撃性も悪意性もなく、言われるようになるのは原意が忘れられているからでしょうし、漠然とその語音が「おかめ(お亀)」を思わせるからでしょう。これは俗語ですが、昭和の時代(1926~89年)に最も用いられたと言われる語であり、さほど古い語ではありません。

 

ついでに「おがくづ(おが屑)」の語源

「おほがくづ(大鋸屑)」。「おほが(大鋸)」は大きな鋸(のこぎり)。「おがくづ」はそれを用いて木をひき切った際に出る屑(くづ)。「おほが(大鋸)」は「おほガ(大牙)」。「ガ」は「牙(意味は、きば)」の音。「おがくづ」は古くは燃料や蚊燻(いぶ)しその他にも使いました。