「ゆゑつき(故調)」。この「ゆゑ(故)」は、原因・理由ですが、この場合は人を動かす原因・理由であり、用向きです。そうした、用向きたる調(つき)、(権威側の)用向きに応じる「つき(調)」が「えつき(役調)」であり、内容は労務です。たとえば堤(つつみ)を築くこと。「つき(調)」はその項参照(ようするに、税)。単に「え」ということもあります。「えだち(役)」とあまり意味は変わらないのですが、「えつき」の方が表現は労務に対し従順です。兵務は「えだち」にはなっても「えつき」にはならないように思います。「先(ま)づ八十梟帥(やそたける)を國見丘(くにみのをか)に擊(う)ちて、破(やぶ)り斬(き)りつ。是(こ)の役(えだち)に、天皇志(すめらみことのみこころざし)必(かなら)ず克(か)ちなむといふことを存(たも)ちたまへり」(『日本書紀』:この「えだち」は、戦い、戦争、を意味している)。
「舊(もと)の賦役(えつき)を罷(や)めて田(た)の調(みつき)を行(おこな)へ」(『日本書紀』大化二年春正月(はるむつき)詔)。
「凡(すべ)て五十戸(いそへ)を里(さと)とす。里毎(さとごと)に長(をさ)一人(ひとり)置(お)く、…………(その、里の長(をさ)は)賦役(えつき)を催駈(うながしつか)ふことを掌(つかさど)れ」(『日本書紀』大化二年春正月(はるむつき)詔:昨日(8月21日)の「えだち(役)」の項の万3847原文に「課役」があり、これは「えだち」とも「えつき」とも読まれています)。