◎「うもれ(埋もれ)」(動詞)

「うも(芋)」(→「うも(芋)」の項(下記))の動詞化。地下の見えないところにある情況に(あるいは社会的・意味的にそのように比喩される情況に)なること。「むもれ」と書かれることも多い。「うも(芋)」の語源に忠実に書けば「うみをれ」になりますが、これが「うむもれ」のような発音になるということでしょう。この動詞は「うめ(埋め)」から生まれているわけではありません。

「大(おほ)きに地震(なゐふ)る……………時に伊予(いよ)の温泉(ゆ)没(うも)れて出(い)でず」(『日本書紀』)。

 

◎「うも(芋)」

「うみを(熟み緒)」。(多肉質の地下茎に粘り気があることから)熟し崩れたような印象がありそれが「うみ(熟み)」と表現された。「を(緒)」は長いものを意味する。「いも」(「いみみを(忌み廻緒)」(3月18日))とも言い、後にはジャガイモやサツマイモがその代表となりますが、もともとは「うも」「いも」は山芋や里芋のことです。

「蓮葉(はちすば)はかくこそあるもの意吉麻呂(おきまろ)が家なるものは芋(うも・宇毛)の葉にあらし」(万3826:「意吉麻呂(おきまろ)」は人名であり、この歌を作った人自身)。

「暑預 有毛(うも)」(『新撰字鏡』:『新撰字鏡』(天治本)の「草(旧体字)部第七十・草部五十九」の「本草と異名」という部分に「暑預 有毛(うも)」と「暑預 山伊母(やまいも)」があります)。

 

◎「うめき(呻き)」(動詞)

「う」は人声の擬音。「めき」は「はるめき(春めき)」などのそれ。この「めき」ではほかにも「蠢く(うごめく)」「ときめく」などがあります。「めき」の項参照。「うう」と声が出ているような状態になること。