「うもみゆかし(鵜も見ゆかし)」。鵜(う)でも見るかのようにゆかしい、ということですが、(鵜飼で)自分が食べるわけでもない魚を一心に取り人のためになっている鵜でも見るかのように(その健気さや専心性に)心が惹かれる(感銘を受ける)、の意。この語が動詞化した「うむがしみ」もあります。
「其の人のうむがしきこと欵(いそ)しきことを送(つひ)に不得忘(えわすれじ)」(『続日本紀』宣命:「欵」は「款」の俗字)。
「明(あか)く浄(きよ)き心(こころ)をもちて御世(みよ)累(かさ)ねて……朝廷(みかど)助(たす)け仕(つか)へ奉(まつ)りたぶ事(こと)をうむがしみ(宇牟我自弥)辱(かたじけな)み念(おもほし)めして…」(『続日本紀』宣命)。
慣用的に「う」が無音化して「むがし」とも言います。
「白玉の五百(いほ)つ集(つど)ひを手に結び遣(おこ)せむ海人(あま)はむがしく(牟賀思久)もあるか」(万4105:「おこせ(遣せ)」は、持ってきてとどける、のような意)。
語音の似た語に「おむがし」がありますが、意味が異なります。