「うにいえめ(居に癒え女)」。「う(居)」は動詞「ゐ(居)」の終止形。「うにいえめ(居に癒え女)」は、居るだけで癒える(安らぎ穏やかになる)女、の意。これは律令制以降は宮中の官職のような印象になりますが、律令以前から「うねめ」はあります。(古代の)宮中(みやのうち・御家の内)に、ただいてくれればそれでいい、という状態でいた女性。この名を言ったのは古代の大君(おほきみ)かも知れません。宮中の官職のような「うねめ」は江戸時代までありました。後世では、食事関係、髪や化粧や衣装関係のことを担当していたようです。

「婇女(うねめ)の袖吹きかへす明日香風(あすかかぜ)都(みやこ)を遠(とほ)みいたづらに吹く」(万51:694年(持統天皇の時代)に宮(みや)が飛鳥の宮から藤原の宮へと遷り、これはその後の歌。以前は婇女の袖を吹き返していた風がむなしくなった、ということ)。