「むななき(胸鳴き)」。語頭子音脱落。胸で鳴くような発声をすることによる名(鰻に声帯はないので、音を出す、ということか)。「むなぎ」とも言う。魚の一種の名。
「うなぎ(鰻)」の語源説に関しては「むなぎ(胸黄)」とする説(下部が少し茶色っぽいものもいる)という説その他があるのですが、長いので鵜(う)が呑み込むことに難儀(ナンギ)するので「うナンギ(鵜難儀)」という説もあります。面白いですが、古くは「むなぎ」でしたから、違うと思います。
「石麻呂に吾れ物申す夏やせによしといふものそむなぎ(武奈伎)取りめせ」(万3853)。
「後日談であるが、ウナギもギギタと同じく鳴き声を出すのを初めて聞いた。ウナギを台所のシンクに入れたときのことである。ギギーギギーとあごの周りから絞り出すような声を出すのである」(www.c-able.ne.jp/~htadachi/unagikago.htm)。
「うなぎ鳴くをんなが嗚咽もらすかに」(「俳句」熊谷愛子)。