◎「うなじ(項)」
「うなしし(鵜な宍)」。「な」は属性規定を表現する「な」(→「瓊(ぬ)な音(と):「瓊(ぬ)」は美しい石の玉」、「目(ま)な交(か)ひ」)。文法的に言えば格助詞「な」。「うなしし(鵜な宍)→うなじ」は、鵜(う)を思わせる、鵜(う)の後ろ姿を思わせる、宍(肉)の部分、の意。首の背後部分。
◎「うな(項)」
「うなじ(項)」の「じ」の省略。つまり「うなじ(項)」は「うな(項)」とも言うということ。
「うな傾(かぶ)し(傾けうなだれ)汝(な)が泣かさまくあさあめの霧に立たむぞ(お泣きになり霧に立つ)」(『古事記』歌謡5:「あさあめ(阿佐阿米)」は一般に「朝雨」といわれているようですが、「浅雨」でしょう。豪雨ではなく、さめざめとした雨) 。
この語「うな(項)」そして上記の「うなじ(項)」は動詞「うなぎ(嬰ぎ)」、さらには「うながけり」との関係が言われますが、直接には関係はありません。どちらも首に関係がありそうなので関係がありそうに言われますが、関係ありません。