◎「うつなし」(形ク)の語源

「うつになし(現似無し)」。現(うつ:明瞭)であることにおいて他に似たことが無いまったく明瞭だ。「吾、兵を起こして入鹿を伐(う)たば、その勝たむこと定(うつなし)」(『日本書紀』)。これは漢文訓読系の表現です。

◎「うつむなし」(形ク)の語源

「うつもむなし(現も空し)」。現(うつ:明瞭)であることさえ空しいそれほどにまったく明瞭だ。上記「うつなし」の部分は「うつむなし」とも読まれます。つまり、ほとんど同意なのです。

 

◎「うづなひ」(動詞)の語源

「うつにあひ(現に会ひ)」。ありありと現れ。

「天地(あめつち)の神(かみ)相(あひ)うづなひ」(万4094)。

「此の物は天(あめ)に坐(ま)す神、地(くに)に坐(ま)す神の相(あひ)うづなひ奉(まつ)り福(さき)はへ奉(まつ)ることによりて顕(うつし)く出(い)でたる宝(たから)に…」(『続日本紀』宣命:この宣命は和銅元年(708年)正月のものであり、宝とは武蔵の国で銅が産出したことを言っており、この宣命で「和銅」への改元が言われています。その少し後で祝いの恩赦なども言われ、百歳以上の人には籾三斛(コク)を賜い、九十歳以上の人には二斛(コク)を賜い、といったことも言われているのですが、当時、百歳以上などという人がいたのでしょうか)。

 

◎「うづのひ」(動詞)の語源

「うつにおひ(現に覆ひ)」。(神が)ありありと(現実を)覆(おほ)ふこと。「祝詞」における特殊な表現。「皇神等(すめかみたち)あひうづのひまつりて」(「祝詞」大嘗祭)。