「うつしおひ(移し生ひ)」。うじおひ→うぞひ、のような音(オン)を経、「うず」になった。「うつしおひ(移し生ひ)→うず」は、(自然界から自分へ)移動した(あるいは、反映した)発生、の意。それにより自然の豊かさ美しさを自分に帯びようとする。髪に挿すなどし、木の枝葉、花といった植物を頭部に帯びたもの。花を一輪挿すようなものから、花冠のようなものまで、その形状はさまざまでしょう。後には冠の飾りたる細工物も作られそれも「うず」と呼ばれます。「かざし(挿頭)」「かづら(鬘)」のようなものですが、それらは、用途として、装飾的です。
「命(いのち)の全(また)けむ人(ひと)は……の熊樫(くまかし)が葉をうず(宇受)にさせその子(こ)」(『古事記』歌謡32:この歌は、古代、「くまかし(熊樫)」という語に、「くみあかし(汲み明かし)→くまかし」:この世に受けた生、生命、自然の恵みたるそのよろこびのようなもの、をすべて汲みとる:という意味合いでもあったのでしょうか。これは倭健命(やまとたけるのみこと)の遺言のような歌です)。
「是(こ)の時に皇子(みこたち)・諸王(もろもろのおほきみ)・諸臣(もろもろのおみ)悉(ことごと)くに金(こがね)の髻花(うず)を以(も)て頭(かしら)に着(さ)せり」(『日本書紀』推古天皇十六年八月)。