◎「うごき(動き)」(動詞)
「うご」の動詞化。「うご」は「うきを(浮きを)」。「を」は助詞のそれですが、状態を表現し、それは想的状態であり、想的状態を表現することは願望・希求の表現となります。「うき(浮き)」は遊離と発生を表現し→「うき(浮き)」の項(4月20日)、「うき(浮き)を→うご」は、遊離・発生(現れ)を希求している動態にあることを表現し、遊離・発生(現れ)を希求する動態とは、そこ(その状態)から遊離し自己を現(あらは)そう・現実化しようとしているということであり、常にその努力を続けている動態、ということです。この「うご」が擬態表現のように作用し動詞化しているのが「うごき(動き)」。つまり「うごき(動き)」は、常に自己から遊離し自己を現(あらは)そう・現実化しようとしているような動態にあること、ということです。この「うご」による「うごうご」や「うごつき」という表現もあります。また、「いごき(動き)」「おごき(動き)」もありますが、同じような表現で「いきを(行きを)」(行きたい)、「おきを(置きを)」(置きたい・安定したい)もあるということでしょう。
「恒(つね)に石(いは)の如くに常(とき)は堅(かち)はにうごかず坐(ま)さむ」(『古事記』)。「稲穂が動く」、「心が動く」、「歴史が動く」、「国が動く」。
◎「うごかし(動かし)」(動詞)
「うごき(動き)」の使役型他動表現。動きをさせること。動揺させることも言います。「ちからをもいれずしてあめつちをうごかし」(『古今集』仮名序)。