◎「う(鵜)」
「うむ」。「む」は当初からほとんど消音化しています。「うむ」はこの鳥が魚を丸呑みにする状態を、自分がその真似をしてみたように、あらわす擬態。鳥の一種の名。
◎「う(得)」
動詞「え(得)」(連用形)の終止形です。帰属の自己認容を表現します→「え(得)」の項。U音の遊離感のある動態感が文法で「終止形」と表現されます。「一切の大智を現すること得(う)」(『金光明最勝王経』)。「うる心ありて、水のほとり草のわたり(下記※)に歩(あり)きて…」(『宇津保物語』:悟る心、理解する心、のような意。この「うる」は連体形)。文法上は後世では終止形も連体形も「える(得る)」になっていきますが、「ありえること」でも「ありうること」でも意味は通じそうです。
※ これは「わたり(渡り)」なのですが、「あたり(辺り)」とほとんど同じような意味です。
◎「う(居)」
動詞「ゐ(居)」の古い終止形です。「立つともう(居)とも」(万1912)。『日本書紀』崇神天皇十年九月には「つきう(急居):憑き居。何かが憑(つ)いたように正気を失ったり呆然としたりすること」という語があります。「ゐ(居)」の終止形は後には「ゐる(居る)」が一般的になります。「ゐ(居)」の項参照。