◎「いらへ(借へ)」(動詞)の語源
「いらあへ(高敢へ)」。「いら(高)」(3月24日(昨日))「あへ(敢へ)」(2019年(去年)7月14日:これは完全性を維持することであり、耐える、のような意味です)はその項。この「いら(高)」は現状から特異的に秀でることであり、利息がつくことを意味します。「いらあへ(高敢へ)」は、利息がつくことを維持すること。これは、元来は、貸主も「いらあへる(利息を維持する)」と言い、借主も「いらあへる(利息を維持する)」と言い、「いらへ」は利息付きで貸すことも借りることもどちらも意味したかもしれません。そして、それを維持する努力は借主のそれが主の印象となり、「いらへ」は利息付きで借りることを意味するようになったのかもしれません。「天下(あめのした)の百姓(おほみたから)の貧乏(まづ)しきに由(よ)りて、稲(いね)と資財(たから)とを貸(いらへ)し者は……公私(おほやけわたくし)と問(い)はず、皆免原(みなゆるせ)」(『日本書紀』天武天皇・朱鳥元年七月)。
◎「いらし(貸し)」(動詞)の語源
動詞「いらへはひ(借へ這ひ)」(「いらへ(借へ)」はその項)の使役形他動表現「いらへははし(借へ這はし)」。その「へはは」の退行化的無音化。借りることをする情況にさせる→貸す。利息付で貸すこと。「中戸(なかのへ)より以下(しもつかた)に貸(いらし)與(たま)ふ応(べ)し」(『日本書紀』天武天皇四年四月)。