「いさかひ(諍ひ)」(動詞)の語源「いひさきあひ(言ひ裂き合ひ)」。言ってお互いを、お互いの立場を、裂き(破り)合うこと。口喧嘩をすること。さらには、さほど激しくない(殴り合ったり殺し合ったりするわけではない)争いをすること。これは「いさかひ」という名詞が広まり、人同士がそうなったり、人が何かに対しそうした言動や態度になることも「いさかふ」と言われるようになったのでしょう。人が人と争うだけではなく、犬を叱ったり人に対しこれに非難的な、これを責めるような口調になったりすることも「いさかふ」と言います。事実上「喧嘩(ケンクヮ):原意は、やかましく言い立てること」と同じ意味で用いられますが、古くは、「いさかひ」は上方・関西系の、「喧嘩」は江戸系の語という違いがあったようです。 「この春いみじき御いさかいありて、御ぞ(衣)ひきやられ(ひき破られ)」(『宇津保物語』)。 「客人の前には犬をだにもいさかふまじとこそ文にも見えたれ」(『十訓抄』:客の前では犬であっても叱るな。犬であっても喧嘩するな、ではありません)。