「いききほひ(行き競ひ)」。「きほひ(競ひ)」はエネルギーが燃え上がって先を争い何かを追うような動態になることですが、「いききほひ(行き競ひ)」は、進行する威勢、のような意味で名詞が言われ、それが(そうなることを意味する)動詞としても用いられたものでしょう。「これほどいきほひはげしき敵にいまだあはず候」、「もの騒がしきまで人多くいきほひたり」。「いかめしういきほひたるを羨(うらや)みて」(『源氏物語』:これは社会的な勢いが盛んになった)。
ちなみに、「きほひ(競ひ)」は、文部省の仮名遣いでは「きおい」になるわけですが、「きほひ(競ひ)」は「気(キ)負(お)ひ」ではありません。「演技に気負いがある」(演技に自然さがない)や「気負いこんで言う」などの「キおひ(気負ひ)」は別語です(同じ項目で扱っている辞書もあります)。