「いききき(行き効き)」。「ききき」が一音になっています。「いき(行き)」が効(き)いている。進行効果がある、ということなのですが、どういうことかというと、たとえば「納得がいく」「合点がいく」などの場合、「いく(行く)」は納得した状態、合点した状態になっていることを表現します。納得した状態や合点した状態が自分に進行するのです。九州方面だけかもしれませんが(『浜荻』という江戸時代の方言辞書にあります)、江戸風や京風であることを「江戸いき。京いき」と言ったりします。これは江戸へ行ったりするわけではなく、江戸が行く。ある人に会い自分に江戸が行けば(江戸が進行すれば)その人には江戸が感じられ江戸が認められるのです。この、感じられ認められる状態であることが人の内的進行として表現され「いく(行く)」と表現されます。性交渉の際における「行く!」も、(性的快感が)感じられる、と言っています。そうした、感じられ認められる効果があることが「いききき(行き効き→いき(粋))」。「気(キ)が効(き)いている」(気(キ) の効果がある)にも意味は似ています。そこにはそこではないどこかへの「いき(行き)」がありその行ったどこかへの心地よさがあることが「いき(粋)」。では心地よさが無い場合はどうなるのかというと、その場合はどこへも行きません。その場合は行き効きがない。粋(いき)がない。この「いき(粋)」は江戸時代に、特に江戸の町人の間で、相当に広まり定着した生活美意識です。そこには江戸の都会的洗練性も影響しており、それを台無しにするような風俗は「やぼ(野暮)」といいます。
これは慣習的に「意気」とも書かれますが、漢語の「意気(イキ)」とは別語です。