◎「いかがはし」(形容詞シク活用)の語源

「いかがはひあし(如何這ひ悪し)」。

「はひ(這ひ)」は情況が感じられる情況になること。

「いかが(如何)」は「いかにか(如何にか)」であり、二番目の「か」は疑問が表明され、「いかに(如何に)」への疑問、疑い、不審、不安が表明されます。その「いかが(如何)」が一般的に感じられ(「はひ(這ひ)」)空虚な、不安な嫌悪感が感じられる(「あし(悪し)」)ことが「いかがはひあし(如何這ひ悪し)→いかがはし」。安心して信頼できないということです。

「いか(如何)」は、少し前に触れましたが、「いかはふうは(い『か』這ふ上)」であり、「いかが(如何)」を原意で表現すれば、「いかはふうはにか(い『か』這ふ上にか)」であり、これは、持続している・進行している思考・疑門発動の結果にか(「か」は疑問の提示)、という意味になり。思考進行しているはずのそれが他者なら、それだけで、どういう頭をしてるんだ、お前は、という意味にもなります。「いかがなものか」。そうした「いかが」な情況が一般的に感じられ良くない、と言っているのが「いかがはし」。

「斯(か)やうな儀を御諫言(カンゲン)申し上げられぬは如何はしう存じまする」(「歌舞伎台本」:どうかと思われ悪しきこと)。

似たような形容詞に「いかがし」があります。

 

◎「いかがし」(形容詞シク活用)の語源

「いかがえあし(如何得悪し)」。「いかが(如何)」は「いかがはし」と同じ。そうした「いかが(如何)」という疑問の状態を得、そうした疑問の状態になり、良くない、と言っているのが「いかがし」。如何(いかが)と思われる、ということで、「いかがはし」(形シク)に意味は似ています。「内々のことを他人中(ひとなか)でたづね申すもいかがしい」(「人情本」:どうかと思われ悪しきこと)。