「あら」には四種あります。
・粗―開放感を表現する「あ」によります。動詞「あれ(離れ)」になっている情況を表現し、開放感を表現します→「(田の)あら起こし」(おおまかに、ざっと起こす)、 「あらかた出来上がった」。
・荒―空虚感を表現する「あ」によります。動詞「あれ(荒れ)」になっている情況を表現し、空虚感、それゆえの荒廃感を表現します→「あらギャウ(荒行)」、「あらみたま(荒御魂)」(対語は「にきみたま(和御魂)」)。
・新―「あれら(生れら)」。生まれた情況の新鮮さを表現します→「あらて(新手)」、「あらみ(新身)」(新造の刀)。
・滓―開放感を表現する「あ」によりますが、作業からあらけ散った残滓のようなものを表現します→「(魚の)あら」、「あらぬか(粗糠:「もみがら(籾殻)」を言う)」、「人のあらを探す」。
感動した際の発声たる「あら」はもちろんここには含まれていません。
「あらがき」は「粗垣」であり、目の詰まっていない垣ですが、新しく作られた「新垣(あらがき)」という言葉もありそうです。「あらの」は「荒野」ですが、荒廃し荒れ果てた野ではなく、空虚感、むなしさを感じる野。