◎「あま(尼)」
「あめもや(天も屋)」の音変化。天も家、という意味ですが、これが(女の)出家(シュッケ:仏道に入ること)を意味し、そして出家した女を意味します。『日本書紀』・敏達十三年九月に「司馬達等(しめだちと)の女(むすめ)嶋(しま)を度(いへで)せしむ」という読みがあります。つまり、後の「出家(シュッケ)」は古くは「いへで(家出)」と言いました。この「あめもや(天も屋)」という表現は家を出ていません。しかし俗世の家は出ます。女の出家はそういうものだったということでしょう。
この「あま(尼)」という言葉は一般にサンスクリット語の母や女を意味する語に由来すると言われるわけですが、「母」や「女」が出家者を意味することは疑わしい。
◎「あま」
女を侮蔑的に卑しめて言う「あま」です。「あのめら(あの女ら)」という表現が「あんめら」のようになり「あま」となり、それが女を卑しめて言う語となり「あのあま…」などとも言われるようになった。「江戸の小民他人を卑しめて野郎(やらう)と云(いひ)、婦女を尼(あま)と云(いふ)」(『守貞漫稿』)。