「あめあひ(天間)」。「木の花のあまひ」という表現が『古事記』にあります(『日本書紀』にもありますが)。「木の花のあめあひ(天間)→木の花のあまひ」とは、たとえば空いっぱいに、満開に咲き乱れる桜の、その花の間に見える青空。それは美しいが狭く小さい。そして花が散ればそこにはただ青空が広がる。つまりこの「あまひ」は非常に美しいが非常に短い、そしてはかなく、永遠に帰る、間(ま)を表現します。『古事記』には「『…故(かれ:そういうことなので) 天(あま)つ神の御子の御壽(みいのち)は木の花のあまひのみ(阿摩比能微)まさむ』といひき。故(かれ) ここをもちて今に至るまで、天皇達(すめらみことたち)の御命(みいのち)長くまさざるなり」とあります。これは「ニニギノミコト(天孫:これは省略して書いており、本当の名はもっと長い)」が「このはなのさくやびめ」と祝(いは)ひの関係に入る際に言われることであり、(天皇を含め)人がなぜ死ぬか(なぜその生は短いか)のその理由を述べています。その理由は、岩と花があり、花だけをとったかららしい。