「あみまねし(編みまねし)」。「あみ(編み)」は何かに全的完成感を生じさせる努力をすることを意味します。「まねし」は間において意外感による驚きが起こっていることを表現します(→『音語源』「まねし」(形ク)の項)。この場合の「ま(間)」は心的・思考的間(ま)です。「あみまねし(編みまねし)」は、編み、すなわち全体の把握・構成努力において、間(ま:空白域)において意外感による驚きを感じていることが表現されます。なぜ驚くのかというと、間(ま:空白域)がなくなっていく事態が起こっているからです。すなわち、あらゆる心理域、思考域が埋め尽くされるように何かが起こっています。余すところなし、余すところなく、ということです。それが「あまねく」それが「あまねし」。「あまねきおほむうつくしみのなみ(御仁慈の波)、やしまのほか(八島の外)までながれ」(『古今集・序』)。「あまねくいきわたる」(すべてにいきわたっていく)。

同じ意味の「あばねし」という語もありますが、「あみは…(編みは…)」と動態の提示により強意がなされているということでしょう。

似た印象の言葉に「さまねし」(形ク)がありますが、これ「まねし」の強意です。たとえば「まねし」がある出来事の頻度の高さを表すとすると、「さまねし」はその出来事と出来事の間の間(ま)がさらに狭くなります。