「あまねはひ(甘音這ひ)」。甘い印象の音(ね)が情況的に感じられるような動態になること。「あま(甘)」は陶酔した状態にあることを表現し、この陶酔は弛緩も生じさせるが、甘(あま)い音(ね:響き)が這ふ(感じられる)とは、矛盾・不同意の緊張のなくなった、すくなくとも和(やわ)らいだ、様子や言動が現れること。

「然得知之日 和如曾識(しかれども知ることある日(しかし知っていれば)  かつて知るごとくあまなふ)」(『日本書紀』推古天皇十二年・「十七条の憲法(十三)」:官(つかさ)は、(人任せなどにせず)自分の職掌(つかさこと)を知れ。そうすれば同僚に欠勤などがあったとしても、前から知っていたこととして問題なく仕事ができる(たやすく事態が処理できる))。

「しかれども玖賀媛(くがひめ)あまなはず」(妻になることを承諾しなかった)。

「清貧をあまなひて」(清貧を甘んじて受け入れ、のような意)。

調和させることを意味する「あまなへ(和へ)」という他動表現もありました。