「あまぢとはむ(天路問はむ」の音変化。天の(あるいは、神的な)路(みち)を探しているだろう、ということですが、この路はすべてが救われ自由な世界へ行くような路です。そして悦びに満ちた「あまぢ(甘路)」でもあるでしょう。これは『古事記』の歌(83・84)にある表現ですが、この歌は軽大女(かるのいらつめ)との禁断の恋に落ちた軽太子(かるのひつぎのみこ)が捕らえられた後、とらわれの身で歌ったもの。これが「あまだむかるのをとめ(軽嬢子)」(83)と、「かる」にかかったような表現がなされているわけですが、この「かる」は「軽大女(かるのいらつめ)」のそれでもあるでしょうし、「かれゐ(離れ居:関係が(とらえられ拘束され)途絶えてしまっている)→かる」ということでもあるでしょうし、とらわれの身となりつつ自由に軽やかに空を舞う鳥を見ての歌でもあるのでしょう(前記83・84そして85の歌は鳥のイメージが重なりながら歌われています)。