「あへゐのき(敢へ居退き)」。「へゐ」が「ふ」の音になっています。「あへ(敢へ)」は自己を維持し、その全的完成感を失わせようとする力に対しては失うまいと堪(こら)えることを表現します(→『音語源』「あへ(敢へ)」の項)。「あへゐのき(敢へ居退き)」は、(人が)立つその位置を維持する努力をしつつ退くこと。足の位置はそのままで上半身が後ろへ反り退きます。体が反れ上を向きます。反った上半身が寝た印象にもなり、寝る場合に身体前面が上へ向いた状態になることも意味します。他動表現は「あふのけ(仰け)」。「田楽やあふのく口になく雲雀(ひばり)」。