「あへひうち(合へ火打ち)」。(火の様子に)合わせ火を打つ。火を打つ、はそこに風を送ること。「大うちわにて火をあをちのけるがごとく…」。「あをつ火燵(こたつ)の灰煙」。
そうした、風を送るかのように何か(たとえば自分の手足)を動かすこと、そのように何かが動くこと(これは自動表現になります)、「七転八倒目を見出し、手足を扇(あふ)ち身をもがき」、「屏風をたたむがごとくにて、二三度四五度あをつと見へしが…」、
(火勢を増すように)何かの勢いを増すように、風を送ること、そうした風に煽られているような心的状態になること(これも自動表現になります)、「郭中にかよふ内より、彼を我物にせんとあをちて貨財を費し」(これは心的状態の例。我が物にせんと気持ちが煽り立てられたようになった)、「きゃつはぢゃうごう(定業:一般には、前世で定まっている業、運命、のような意で言うようです)があおつ」(これは、定業が煽り立てられるように動揺するということですね)、
なども表現します。
ちなみに、歴史的に現実に現れる表記は常に正確に「あふち」と書かれるわけではなく、「あほち」「あおち」「あをち」などとも書かれます。