「あひうせああきりうせああ(間失せ『ああ…』、切り失せ『ああ…』)」。「あひ(間)」は物事の間(ま)。それが失せます。「ああ…」はこの場合は嘆きの発声。「きり(切り)」は物事の限界。それが失せます。ものごとの間(ま)が失せ限界が失せます。つまり際限がなくなる。そして「ああ…」という嘆きの発声があります。間がなくきりがないということであり、さまざまなものごとが立て続けに起こっていることを表現します。
「心のいとまなくあふさきるさに思ひ乱れ」。
「そへにとてすればかかりかくすればあないひしらずあふさきるさに」(ついでのように補いとしてすればこのようにあり(そして事態が自分に「かかり」) 、こうすればどう言ったら、どうしたら、いいのかもわからないことになる。さまざまなことが際限なくあり)。
さまざまな現象が行きかうようにつぎつぎと起こることも表現します。「はれくもりふりもつづかぬ雪雲のあふさきるさに月ぞ冴えたる」。
ただし、後には、「逢ふさ離るさ」とも書かれ、とくに男と女が、逢うことと別れること、といった意味に解されそのようにも用いられたようです。「心も空になり果てて、逢ふさ離るさのこともなく…」。