「あひしひいれあひ(合ひ強ひ入れ合ひ)」。「しひい」が「し」の一音に、「れあひ」が「らひ」になっています。何かと自己が(あるいは、何かと何かが)全的に一体化し一つとなることを強(し)ひつつ(合ひを強ひつつ。何者かに命令される状態になりつつ)それらを入れ合うこと。つまり、調和努力をすることです。対応・応対することも意味しますが、ただ努力しているだけで調和はしていないわけであり、ただ上辺(うはべ)だけで適当に応対する意にもなります。
「いと深からずとも、なだらかなる程にあひしらはむ人もがな」(『源氏物語』:文末の「もがな」は願望)。
「風限りなく激しく、日荒れ、空の気色苦しげなり。尚侍のおとど、かかる折にあひしらひ、(琴を)弾かせたてまつりたまふに、いささか誤らず…」(『空津保物語』)。
これは「あしらひ」になります。「花をあしらふ」。「適当にあしらっておけ」。
酷似した言葉で「あへしらひ」があります。これは語頭が他動の「あへ(和へ)」になっています。「かくことなる事なきあへしらひばかりを慰めにて」。