◎「あひ(合ひ・会ひ)」(動詞)の語源

全的完成感を表す「あ」による動詞。こうした全的完成感を表す「あ」による動詞としてはほかに「有り」・「生れ」・「編み」・「合へ」・「堪へ:堪(た)へ、に似たような意」・「交ぜ」があります。「あひ」は、そうした全的完成感が感じられる情況になること。全的完成感のある情況努力感が生じること(情況努力感は活用語尾H音の効果)。AとBが「あふ」とは、「あ」の完成感・全感が、AとBが関係したときそこに何も捨てはなく全的完成感が生じることを表現します。複数の人間が全体的に何かをする、複数の動態に全的完成感・全体感が生じる、ことなども表現します→「言ひあふ」「語りあふ」。形容的にもそれを表現します→「あひおひ(相生)」「あひづち(相槌)」。

◎「あひ(間)」の語源

「あひ(合ひ・会ひ)」ですが、合ふことは二以上の主体によって起こり、それらが合ふ情況になっているもの・こと、それらを合ふ情況にしているもの・こと、も「あひ(間)」と言います。つまり、一体感は感じさせるが一体化はしていない何かと何かの、その何か以外の一体感を感じさせている空間域や時間域です。「やまあひ(山間)」。(例えば民謡の)「あひのて(あひの手)」も「合ひの手」ではなく「間の手」。似た言葉に「あはひ(間)」があります(→『音語源』「あはひ(間)」の項)。「あひ(間)」と「あはひ(間)」はほとんど同じ意味で用いられます。