「ああは」。「ああ」は感嘆発声。「は」何かを提示します。「ああ…」と感嘆するその情況が提示され、その感嘆提示が、あんなことが…と何かへの驚き、意外感を表現します。「ふる雪はあはにな降りそ吉隠(よなばり)の猪養(ゐかひ)の岡の塞(せき)なさまくに」(万203:雪はあはに降らないでおくれ。猪養(ゐかひ)の岡をとざしてしまう)。これは淡(あは)く降るな→たくさん降れ、と言っているのではありません。雪は驚くほどは降らないで、たくさん降らないで、と言っています(この歌は最愛の人の墓処を遙かに見やりながら歌われています)。語頭が何かを指し示す「さ」の場合「さは(多)」になります。