類似性のある表現やそれのシク活用・ク活用形容詞化表現に「あなみす」「かまし」「かまびすし」「かまみすし」「やかまし」「かしかまし」「かしまし」があります。すべて音響(騒音)への不快感を表現しています。「あな」は感情の高まりを表す発声。これは後には「あら」に変わります。

「かま(囂)」は「かむら(蚊群)」。「むら」がR音が退化しつつ「ま」になりました。蚊が群がっている状況を表現します。蚊の大群が群がりついてきたかのように鬱陶しく煩わしいという意味。これが、用法としては、音響的不快さに対する表現が主なものになっていきます。「かまし」(形シク)は「あなかま」の「あな」が省略された形容表現で「かまあし(かま悪し)」。

「びす」「みす」はびっしり(みっしり)と密集している状態を表す擬態で「びすし」「みすし」(形ク)は「びしうし(びし憂し)」「みしうし(みし憂し)」(「かまびすし」は歴史的にク活用からシク活用に変化しています)。

「やかまし」の「や」は、「いや」という、程度が高まりつのっていく情況を表す発声。「かしかまし」の「かし」は「カッし(喝し)」(声を大にして言い→確かに)。「かしまし」はその「か」の脱落。