「あくでおほし(あく出多し)」。「あく」が大量に出ている印象であること。この場合の「あく」は灰を水に溶き撹拌し沈殿させできた上澄みのことではありません。肉や魚などを煮ると表面に浮かぶ異物などを言うそれです(→前投稿「あく」の項)。つまり「あくどし」は異物感・違和感が強いということです。「あくが強い」にも意味は似ています。「精進物のこんだてはまあ儘(まま)にして(それでよいとして、さらに)、ちっと悪毒(あくどく)天麩羅か、黒漫魚(まぐろ)のさしみで油ののった…」(「人情本」)、「あくどい手口」(常軌を逸しているやり方)。