開放感を表現する「あ」による動詞。開放・上昇感の「あ」による動詞としては他に「上げ・揚げ」「荒れ」があります。「あれ(荒れ)」の「あ」は開放感や上昇感を表現しているか? これは「あし(悪し)」のような空虚感の「あ」ではないのか? という疑問も沸くかもしれませんが、「あれ(荒れ)」の「あ」は日常的な通常の動態秩序を破壊する開放感・上昇感を表現しその破壊性が空虚感を生じさせそれは荒涼感や荒廃感にもなります。「あれ(荒れ)」にただ否定的な忌み嫌うべき空虚感・無意味感を感じるのはそれは秩序やシステムが整っていることがよいことだという現代人の感覚であって、日本には古く「あらみたま(荒御魂)」「にきみたま(和御魂)」という言葉がありますが、古代ではけして「荒れ」は、自然の荒れは、恐れられ畏(かしこ)まれはしても、忌むべきものとして否定されてはいません。