空虚感を表現する「あ」による動詞。空虚感を表現する「あ」に関しては、その意味、なぜそうなるのか、それによる他の動詞などは、といったことに関しては以前「あえ(落え・熟え)」の語源で触れました。『音語源』にもあります。

これは後世では「飽きる」「飽きない」のような上一段活用でいわれるようになりますが、それは江戸時代後期からであり、古くは否定形は「あかず(飽かず)」といった四段活用でした。「見れどもあかず巨勢の春野は」。

動詞「あき(飽き)」の上一段活用への移行は「あきくいる(飽き悔いる)→あきる」(飽きて悔いた、嫌になった)という表現によるものでしょう。「くい(悔い)」という動詞は語の成立要素として作用していた動詞は失われ(つまり「くい(悔い)」はそれとして成熟し)「くい(悔い)」全体の動態を保存するように上二段活用から上一段活用へと移行しています(つまり「くゆ」(終止形)「くゆる時」(連体形)から「くいる」(終止形)「くいる時」(連体形)へ移行している)。

ちなみに、「見ない」「言はない」のような、「~ない」という否定表現は起源は東国の方言です。本来の表現は「見ぬ・見ず」「言はぬ・言はず」です。