「あきかれはめ(飽き『彼は…』目)」の音変化。「き」は消音化し、「は」のH音は退化しました。「かれ(彼)」は後に一般化する「あれ」です。後に一般化する「あれ」「あの」といった言い方は古くは「かれ」「かの」と言いました。これは特定されない何かを指します。「あきかれはめ(飽き『彼は…』目)」は、ものやことに飽き、ふと、「あれは…」と他へ心が移った目、人のそうした状態。脇目(わきめ)にも意味が似ていますが、これは男女間の関係で言われだしたものでしょう。つまり浮気目(うはきめ)。「獅子は前に猿の二の子を置きてあからめもせず護り居…」。
「あからめさし」は、何かを見失うこと、何かを喪失させること(他動)。「何の禍(わざはひ)そも、何の罪そも、ゆくりもなく(なんの予兆もなく唐突に)我が子をあからめさすこと」(「そも」の「そ」は指定強調。「も」は詠嘆)。
後には「あからめ」が何かがいなくなること(自動)を表現することもありました。「我が宝の君はいづくにあからめせさせ給へる」。