作品の中

爽やかな風が吹く

イラストレーター

 

 

 
 

  優しい風が吹いてます

 

 

私の好きなイラストレーターさんに共通するものは何だろうと考えた時、「風」というキーワードを見つけました。作品の中を透き通った優しい風が吹いているのです。

 

 

  挿絵画家:メアリー・シェパード

 

 

 

パメラ・トラバース作「メアリー・ポピンズ」の挿絵画家は、メアリー・シェパードさん。父親は「クマのプーさん」の挿絵画家として有名なアーネスト・ハワード・シェパードさんです。     

 

『メアリー・ポピンズ』の挿絵の仕事依頼は、元々父親のアーネストさんにきたのですが、忙しくて時間が取れず、美術学校を卒業したばかりの娘メアリーさんに任せることにしたそうです。

 

私は特に「風に乗ってきたメアリー・ポピンズ」の表紙になったイラストが大好きですし、多分ファンの間でもそうでしょう。そうあの有名な、メアリー・ポピンズがこうもり傘を広げて、空高く飛んでいるイラストですね。

 

お話の中のメアリー・ポピンズは、厳格で自尊心が非常に高く、愛想を振りまかないキャラクターです。ややもすると重たいキャラクターであるメアリーを、挿絵は軽やかなタッチで描いていて、メアリー・ポピンズが実はいい人であるのではと、物語以上に挿絵が語っているのです。

 

 

  漫画家:田渕由美子

 

 

 

 

田渕由美子さんは70年代、80年代に少女漫画誌「りぼん」での乙女チックなイラストで人気を博しました。漫画のストーリーだけでなく、雑誌に付いてくる付録のイラストだけでもファンの間で売り買いされるほど、大変な人気を集めました。

 

イラストの特徴は大きな目と線の細さで、そのイラストと胸がキュンとする言葉で、少女の憧れる柔らかでロマンティックな世界が余すこと無く描かれていました。

 

そしてどの作品にも背景に、風にそよぐ木々の葉がたびたび登場しています。この木漏れ日にキラキラと輝く木々の葉が、乙女の持つ透明感や乙女時代の揺れる思いを表しているかのようで、私は木々の場面が大好きでした。

 

子育てが終わって10年、ストーリー漫画で再びペンを取られた田淵由美子さんは、タッチが少し変わった、ストーリーも踏み込んだものになったと言われています。常に「乙女チック」であることを求められた足かせから解き放たれたのかもしれません。

 

 

  絵本作家:永田萌

 

 

 

 

永田萌さんは、「カラー・インクの魔術師」と呼ばれ、海外でも高い評価を受けています。1987年には、「ボローニャ国際児童図書展青少年部門グラフィック賞」を受賞しました。

 

カラー・インクの鮮やかな色彩で描かれた妖精や花の世界は有名で、扱いが難しいと言われるカラー・インクを駆使した、彼女の豊かな想像力に溢れる世界は、彼女だけにしか描けない唯一無二の作品だと言われています。

 

特にブルーのカラー・インクを使った作品は人気が高く、ブルーには「穏やか、無邪気」の意味があり、永田萌さんの描く世界のイメージにより似合っているのかもしれません。

 

お花がそこに咲いているイラストも素敵ですが、私はお花が風に舞ってこぼれていくイラストの数々が好きです。また、やはりブルーを多く使う海や空について描かれた作品が好きです。

 

 

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