ビヨンセとオリヴィアの
「ジョリーン」
私はオリヴィア派
カントリー・チャート首位の曲
Beyonce(ビヨンセ)の新曲「Texas Hold 'Em(テキサス・ホールデム)」が、アフリカ系女性アーティストとして初めてビルボードのカントリー・ソングス・チャートで首位を獲得。その偉業に世界が沸いています。
彼女は、2023年の第65回グラミー賞で32個目のグラミーを獲得して歴代最多受賞者となりました。
ビヨンセは「最もホットな女性」、「伝説的なディーヴァ」として、世界中の女性達から憧れの存在として尊敬されています。同じセレブでも彼女の支持者はたくさんいます。その影響力も、米タイム誌による「2023年に最も影響力のある人物」のリストに入るなど絶大です。
そんなビヨンセも歌った、「Jolene(ジョリーン)」(米シンガー・ソング・ライターのドリー・バートンの楽曲)は、「ローリング・タイム誌の選ぶオール・タイム・グレイテスト・ソング500」において、63位にランクされているカントリーの名曲です。
また、ドリーはビヨンセと、下記にご紹介するオリヴィア・ニュートン=ジョンともそれぞれのビデオ内で共演しています。
2人の歌姫が歌うジョリーン
実はこの曲、自分とパートナーの前に現れた美しい女性に向けて歌った歌です。でも、ビヨンセ・ヴァージョンとオリジナル・ヴァージョンでは歌詞が違います。
ドリーのオリジナル版は、「彼をこの美しい女性に奪われてしまうのではないかしら。どうか私から彼をとらないで」という「哀願」と言っても良いでしょう。オリヴィアはドリーのオリジナルの詞を変えることなく、忠実に歌っています。
一方ビヨンセ版は、不安を感じてはいるけれども、「私と彼との築き上げてきたものを壊すなら、わかっているわね。他人のものを盗むのはやめて」という「警告」です。
詞の内容に関しては、どちらがお好きかはわかりませんが、ビヨンセは女性の地位向上に長年尽力してきた、またオリヴィアはイルカの捕殺に抗議し公演拒否をしたこともある(世界的に議論を呼んだのですが)、実は強い意志を持った女性です。
また2人とも、カントリー・シンガーとしてはその世界で、受け入れてもらうのに大変苦労した、手放しで歓迎されていたわけではなかったと告白しているように、道を切り開いてきたパイオニア的存在です。(オリヴィア派その後、ポップ色を強めたり、ロック調へと曲の変遷がありましたが、どの分野でもヒット曲を飛ばしています)。
オリヴィアの魅力
さてそういった背景は別にして、純粋に音楽として楽しむ、音や声を楽しむ(テーマが私にとっての歌姫ということですから)というのであれば、私にとっての歌姫はオリヴィア・ニュートン=ジョンです。「ジョリーン」もオリヴィアの曲の方が好きです。
透き通ったハイ・トーン・ヴォイスは「天使の声」と呼ばれ、その美しく愛くるしい容姿と相まって、たくさんのヒット曲を生み続けました。ロック色が強くなっても、セクシーでありながらも漂う清純さは消えることなく、囁く声からドライヴする声まで、その幅広いテクニックと声域にあらためて驚かされました。
代表曲は書ききれないほどですが、たとえば映画「耳をすませば」の「カントリー・ロード」(オリジナルはジョン・デンバー)、上に挙げた「ジョリーン」や「そよ風の誘惑」「フィジカル」(米ビルボードで10週連続1位)などは特に有名です。「愛の告白」ではグラミー賞も獲得しています。
彼女はスポーツ好きなだけあって、運動神経もすごくよかったみたいです。ステージでの激しいダンス・シーンはありませんでしたが、時代が違っていたらどうだったでしょう。
2022年にオリヴィアは癌で他界しました。今も昔も好きな女性シンガーはたくさんいますが、これだけの正統派の美貌と美声を持ち合わせたシンガーは、なかなか現れないと思います。