街頭インタビューに答えて 私優しい人が好きよと
やさしくなれない女たちは答える
話しかけた若い司会者は またかとどこかで思いながら
ぞんざいに次の歩行者をつかまえる
街角にたたずむポルノショーの 看板持ちは爪を見る

きのう午後9時30分に そこの交差点を渡ってた
男のアリバイを証明できるかい
あんなに目立ってた酔っ払い 誰も顔は思い浮かばない
ただそいつが 迷惑だったことだけしか
たずね人の写真のポスターが 雨に打たれて揺れている

海を見たと言っても テレビの中でだけ
今夜中に 行ってこれる海はどこだろう
人の 流れの中で そっと時刻表を見上げる

 

 

満員電車で汗をかいて 肩をぶつけてるサラリーマン
ため息をつくなら ほかでついてくれ
君の落としたため息なのか 僕がついたため息だったか
誰も電車のなか わからなくなるから
ほんの短い停電のように 淋しさが伝染する

誰が悪いのかを言いあてて どうすれば良いかを書き立てて
評論家やカウンセラーは米を買う
迷える子羊は彼らほど 賢い者はいないと思う
あとをついてさえ行けば なんとかなると思う
見える事とそれが出来る事は 別ものだよと米を買う


田舎からの手紙は 文字がまた細くなった
今夜中に 行ってこれる海はどこだろう
人の 流れの中で そっと時刻表を見上げる

人の 流れの中で そっと時刻表を見上げる

 

(作詞・中島みゆき)

 

 

※ryogo_tsushimaさん

 素敵な写真ありがとう。