●「将来考える余裕ない」不安も口に 

 

輪島の中学生、集団避難1カ月

能登半島地震で被災した石川県輪島市の中学生が県南部の白山市に集団避難してから、17日で1カ月が経つ。親元を離れ慣れない環境で授業を受ける生徒たち。一方で、地元に残り避難所などでオンライン授業や自習を続ける子もいる。

学ぶ機会や内容に大きな影響が出ているのが実情だ。

教員らは試行錯誤しながら、生徒の生活面や学習面のサポートに奔走している。

「避難所だと勉強ができないから」

高校受験を控えた輪島中学校3年の山瀬大喜(はるき)さん(15)はそう言って、白山市の体験学習施設での集団生活を選んだ。

生徒たちは同市内の学校の空き教室などで授業を受けている。

輪島市の避難所で生活している母の喜多真由美さん(42)によると、大喜さんたちは11人部屋で寝起きし、自習用のスペースもあり勉強に集中できている様子という。

発熱した時は、一緒に生活している教員が病院に連れて行ってくれた。

喜多さんは「何かあった時でもこちらは動きづらいのでありがたい。でも、先生方も忙しくて心配」と話す。

 

現在も約220人が集団生活

輪島市は1月17日、「子どもの学ぶ機会を確保したい」として、保護者の同意を得られた約250人を、白山市に集団避難させた。

市教委によると、中学校が輪島でも再開したり、新たな避難先に家族と移ったりしたことで生徒数は減ったが、今も約220人が教員と一緒に生活している。

輪島市は3月中に輪島に戻ることを見込んでいるが、水道の復旧など、復興の状況次第では期間が延びる可能性もあるという。

市教委などによると、生徒たちは授業のほか、体育館で体を動かしたり、ドローンの操縦やダンスといった体験イベントに参加したりしているという。

白山市の避難先では、輪島の教員の負担を減らそうと、他県の教員やカウンセラーらも入り、授業をしたり生徒の相談に乗ったりしている。

生活指導などのために応援に入った広島県教委の土田俊弘さん(46)は

「初めは友だちと再会したことがうれしくて浮足立っていたが、時間が経つにつれて様々な不安を口にするようになった」と振り返る。

自宅が崩れ、家族も職を失ったという3年の女子生徒は、受験を目前に控えても「自分の将来のことを考える余裕なんてない」と話したという。

土田さんは「生徒も本当は輪島の先生ともっと話したいはず。生徒と向き合う時間を作ってあげたい」と話す。

 一方で、輪島で学習を続ける生徒もいる。・・・

(この先は有料記事なので割愛)

 

 

●石川・市立輪島病院 地震で被災…職員の退職相次ぐ

 

石川県の市立輪島病院では、地震で被災したことを理由に退職する職員が相次ぎ、病院としての機能を守ることが課題となっています。

市立輪島病院は、災害拠点病院に指定されていて、地震により医療機器や建物に被害を受けながらも、発災当日から多くの患者を受け入れてきました。
病院の職員も、自宅が全壊するなどの被害を受けたということです。

こうしたことから、約130人いる看護師のうち30人ほどが、輪島での生活再建が見通せないことや、子どもの教育環境などを理由に退職する意向を示しているということです。