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---★ 山口“悟風”智・作「おかあさんへの手紙」特別号 ★-------
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-----------------------------第 3号・2002年12月 1日発行 ------
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☆今回は、筆者の山口“悟風”智が、
北海道上川郡東川町立東川第二小学校に勤務した時代
(1992〜94年度、悟風58〜60歳)に書いたもののうち、
学校通信「二小だより」に92年6月より93年6月まで連載した
「校長室からコンニチハ」(全10回)のNo・3をお送りします。
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校長室からこんにちは No・3
【 共 に 育 つ 】
======== 学校五日制を考える ========
<<参観日のお話から要旨>>
東川町立東川第二小学校長
山 口 智
皆さん、コンニチハ。今日はご苦労さまです。
この蒸し暑いのに、校長が一番先に出てきて、面白くもないお話をすることになっ
ていてすみません。
でも、仕方ないのです。
それは、日本の教育の歴史のなかで、・一番・といってもいいと私は思っているほ
ど、これからの教育のあり方が大きく変わろうとしているからなのです。
私は、いつも『すごいなあ!』『素晴らしいことだなあ!』と思っていることがあ
ります。
それは、小学校に入学してくる一年生が、私は一年生を受け持った経験は余り無い
のですが…。一年生の殆ど全部の子が、私たち大人となに不自由なく【話すこと】が
出来るということです。100人のうち98人ぐらいは…。
そうですね。不思議だと思いませんか。すごいことでしょう。これは。
生まれてから、たった六年間で日本語を何不自由なく殆どの子が話せる。私は、素
晴らしいことだなあ、といつも思っています。
お母さん! 誰が一体教えたのでしょう。
それは、誰でもない、お母さん貴女なのです。もちろん、子どもが育っていく周囲
には、お父さんも居るし、兄弟や祖父母も居たでしょう。でも、私は何といってもお
母さんの力、私は皆さんも含めて<<母の力>>だと思うのです。
私は、母こそ、最高最大の・教育者・だと信じています。
お母さんは、『この子が、二つになったらこの言葉を教えよう』とか、
『幾つになったら、話し方を教えよう』とか、
計画的に、意図的に育ててきたわけではないですよね。
私たち教師は、みんな子どもが大好きでこの仕事に打ち込んでいます。
しかも計画的に、意図的に教えています。でも、六年間お預かりしたとしても、と
ても、とてもピカピカの一年生のようには育てる自信はありません。
では、何が、どうしてこう違うのでしょう。
私は、それは、子どもに対する、子どもにもってる【愛】の違いだと思うのです。
私たちも、子どもが可愛くて、大好きで、一生懸命に、この子の為にと、頑張ってい
るのです。が、所詮は、人の子、つまり他人の子なのです。
逆立ちしても、お母さんの【親の愛】【真の愛情】には、とても及びません。
<<学校五日制>>は、お子さんを家庭にお返しするということです。
それは、家庭にも、激しい変化の予想されるこれからの社会に、自分の考えで、逞
しく生き抜いていける子を育てる・力・になってほしいということです。
もう、教育は、学校だけの勉強ではとても追いつかなくなっております。
私は、この23公区に住まわせていただいてます。
月に一度か二度、常会があります。常会で話し合われる中身は、仕事の違う私には
関係なく、いつも“借りてきた猫”のように、おとなしい振り?をしてます。
が、話し合いが終わって、たまにビールでもなると、俄然(がぜん)元気が出て会
話の中に入りこみます。
いつでしたか、大門さんが私にこう言いました。
『先生、このごろの百姓は、馬鹿じゃ出来ないんだよ…』
私は、別に大門さんを馬鹿にしたわけではないのですが。そうですよね。『今年
は、玉葱を何反にしようか。大根に法蓮草は、ピーマンは、小豆は…』
毎年の作付けひとつにしても、お父さん達はわが家によかれと思う計画を立て
る…。稲もありますね。
大門さんが、お幾つなのか、どんな学校を出られたのか私は知りません。でも、一
生懸命に作付け計画を立て、設備投資や営農計画を進めている。
馬鹿どころか、プロでないと出来ない仕事、農政の在り方によっても、勉強してか
からねばならない。つまり、生涯、学習を続けていかねばならない。
学校で勉強したことだけでは、もう全然追いついていけない社会になってきたこ
と。
そうしたことが、生涯学習社会といわれることですし、【学校五日制】も、そのよ
うな社会を生き抜くための、基礎の力を子どもにつけようというのが、大きなねらい
です。
ところで、<<雀の学校>>という唄がありますね。
新しい学力ということや、通知表の変わったところなど、この後、教務の渡辺から
説明しますが…。
“チーチーパッパ、チーパッパ
雀の学校の先生は、鞭を振り振り チーパッパ
(よそ見をしたり、出来なかったらビシッ!)
生徒の雀は、輪になって (皆が、一斉に、先生の方を向いて)
お口を 揃えて チーパッパ”(同じことを同じように覚えて)
これが、今までの、私もお母さん達も受けてきた学校の教育、授業ですね。これか
らは、これじゃ駄目だ、と反省したのが、新しい学力であり、学校五日制でもあるの
です。
“めだかの学校は、川の中
誰が 生徒か 先生か (誰が、生徒か先生か分からないように、
みんなで、お遊戯しているよ” 一緒に共に育てる、育つ)
これが、これからの教育。
ところで、今日の授業参観いかがでしたか。雀でしたか、めだかでしたか、先生方
が、少し青ざめてるかナ。
・教育・といえば、いろいろに書けますね。
(板書しながら)
・ 教育→ 今までは、この教える教育でした。
・ 共育→ これからは、家庭——
学校——+—の三者が共に育てる
地域——
・ 響育
・ 協育
・ 今日育→ これは、私が時々ご挨拶に使っているものです。
つまり、教育は、今日行くでなければ。明日じゃ
間に合わない、(レジィネス)稲や野菜もそうですね。
中耕除草・間引き・誘引・土寄せ・追肥・防除などなど
時期というか、生育に合わせてですね。今日でなきゃ。
という日があるはずです。
・ 狂育→ これは、ちょっと困りますが。
さて、長々と喋ってしまいました。
【学校五日制】について、などとご案内した割には、何の話かお解りになりにく
かったでしょうか。
ところで、9月からですから、ね。
私は、五日制が始まったら、先ず遊ばせてください。と思うのです。危ないことや
悪いことでなければ、キトウシ山に放して思い切り遊ばせてください。
それと、何か家の仕事を手伝わせてください。水田の水回りは、ちょっと無理で
しょうが…。お母さんが畑に出かけた後、茶碗洗いをするとか、花に水をやるとか、
何か、家庭での・役割・みたいなものを持たせること。親子で除草しながら対話なん
て、素晴らしいと思いませんか。
それから、東川には美術館はないけれど、今日来た新聞によると、兵庫県、佐賀県
では、美術館や博物館を、小中学生は入場無料に。 それが保護者の入場者を増やし
て、有料の時より収益があがっている。という記事が出ていました。
そうした施設。図書館や公民館に行って、学校では出来ないお勉強をすること。こ
れも、【学校五日制】で期待できる、自由な時間と心のゆとりの有効な使い方だと考
えます。学校ももちろん開放しますから、また、子供たちの過ごし方についてお話し
合いしましょう。では、有り難うございました。
(1992年7月20日話す、要旨を書いた日は不明)
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☆次回は、「校長室からコンニチハ」No・4を掲載する予定です。
☆このメールマガジン版に掲載した山口“悟風”智の作品は、明らかな間違いを除
き、筆者・悟風が書いたまま載せています。
山口“悟風”智のプロフィールは、
http://plaza.rakuten.co.jp/gofu63/profile/
をご覧下さい。
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★編集後記「人並みだったとしておこう」★
特別号第3号「校長室からコンニチハ」の第3回は、参観日に話した内容の要旨
を、父自身が文章としてまとめたものです。
用語として、分かりにくいのは「公区」でしょう。一般には「町内会」「自治会」
と理解していいと思います。
今回の文中、過去に発行した「おかあさんへの手紙」にも、似た言い回しがありま
した。それは、「母こそ、最高最大の・教育者・だと信じています」という言葉で
す。載ったのは、通常号第23号(
http://www.honya.co.jp/contents/letter2mom/index.cgi?20020906 )。「★すばら
しい先生」(1975年9月29日記す)というタイトルの文章でも、同じように発言
しています。「校長室からコンニチハ」No・3の元になった参観日は、92年7月20日
にあったそうです。ですから、「母こそ、最高最大の・教育者・だ」という考えは、
17年後に繰り返し、父が表明した訳です。本当に教職者・山口智としての信念だった
のでしょう。
よく考えたなと思ったのは、学校週5日制の説明として、「雀の学校」を「めだか
の学校」に変えるという考え方でした。面白いとは思ったのですが、これは、父自身
が考えた説明方法ではないような気がします。
新しい制度の導入に向けて、小学校長という「中間管理職」は、研修を受けたり、
いろんな文書を受け取るはずです。その時点で、文部省(当時)か、北海道教育委員
会、あるいは地域の校長会で、こういった考え方を示され、父がそのまま伝えた可能
性が高いのではないかと思うのです。あるいは、教育関係の雑誌に書いてあったのか
もしれません。そういった資料が見つかっていないので、確定的なことは言えません
が……。
ただ、現場の小学校を預かる校長として、父が目指した教育(改革)の方向性は、
分かると思います。
(発行者・山口一朗)
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