高山博氏の『歴史学 未来へのまなざし』を読んで思ったことを書いてみたいと思います。(僕なりの解釈なので、誤読等あるかもしれませんが、ご容赦ください。)
高山氏は中世ヨーロッパ史家で、特にシチリア史、ヨーロッパの統治システムの比較研究をされています。
この本では、その研究と歴史学が持つ意味を、現在のグローバル化社会の問題と引きつけて論じています。
文体自体は極めて平易なもので、図版も多く、読みやすかったです。
何よりも、今自分が最も関心のある、「歴史」と「現在」との関わりについて論じられていました。

いっぺんには紹介できないので、ちょっとずつコメントしていきたいと思います。

まず、現在の自分の立っている場所を認識するためには、現在のことだけでなく過去のことを認識する必要があること。
そして、広大な過去の世界、あるいは広大な現在の社会を認識するためには、人間はどうしても何らかの「枠組み」をもたなければいけないということ。
この「枠組み」を作るのが歴史学であり、現代の課題に応じて「枠組み」を壊して再構成するのも歴史学であるということ。
そして教科書的ないし国家主義的な歴史の「枠組み」が再編される状況にあること。

歴史教育に引きつけて考えてみると、系統主義とその反論の議論に踏み込めそうです。
「枠組み」がなければ物を考えることができないが、その「枠組み」を絶対視してはいけない。
「枠組み」を与えるのが系統主義の発想であり、「枠組み」を絶対視しないで捉え、それを再構成する過程をむしろ大事にするのが思考や表現を重視する立場なのかな、と考えます。
当然どちらもやらなければならないのですが、発達段階と子どもがもっているものを勘案しながら、どうバランスをとっていくのかということが歴史教育の課題なのでしょう。
今はまだ答えが出せませんが、実践のなかでその答えに近づくものがあれば、またご報告したいと思います。

つづく。