AmericanDemocracy and Japan
As for my familyname, it is not “Eighb.” Some Americans do call me that every now and then, butI don’t take offense.
外務省訳: 私の苗字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。
A
be は英語の発音では「エイブ」であることと、AbrahamLincoln のAbe とをひっかけた発言。ただし、Eighb は変だ。eight のeigh とb の合成語のようだが、こんなことしなくても首相はわかるだろうに。
I don’t take offense を「悪い気はしません」と訳しているが、これは間違い。take offense は「感情を害する」、「ムッとする」という意味なのだから、ただ単に「気にしません」くらいの意味だろう。自分の名前を間違えて呼ばれるのは、嫌なことなのだから。
That's because,ladies and gentlemen, the Japanese, ever since they started modernization, haveseen the very foundation for democracy in that famous line in the GettysburgAddress.
外務省訳: 民主政治の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティスバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。
That’s because, ladies and gentlemen… とあるので、「それはなぜかというと、皆さん」となるが、これが抜けている。
The son of afarmer-carpenter can become the President... The fact that such a countryexisted woke up the Japanese of the late 19th century to democracy.
外務省訳: 農民大工の息子が大統領になれる――、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。
afarmer-carpenterとあるので、「農民兼大工であった人物」となる。「農民大工」は少し変だろう。ピリオドが3つになっているが、省略の意味のピリオドと終止符のピリオドを含めたら4つとなる。「そういう国があることは」となっているが、ここは時制が過去形なので、「そうした国が存在していたという事実が」とすべき。「日本」と訳されているが、ここでは「日本人」となっている。
For Japan, ourencounter with America was also our encounter with democracy. And that was morethan 150 years ago, giving us a mature history together.
外務省訳: 日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。
「すなわち」に相当する語はなし。「民主主義との出会いでもありました」とある。
訳しづらいのはgiving us a mature history together である。「年季を経ています」とあるが、変な感じがする。しかも、togetherが訳から抜けている。そもそも「成熟した」という意味の形容詞でhistoryを修飾しているのがおかしい。amature history は英語として聞いたことがない表現である。ここは書き換えるか、カットすべき個所である。
(続く)