前回からのつつきで日経新聞のスポーツコラム「楽天CSへ 5年目の独り立ち」記事の(下)です。下に抜粋しました。



楽天CSへ 5年目の独り立ち(下) 09年10月5日(月)日経新聞より抜粋


”多国籍”裏方陣も成長


 球団立ち上げ当時、5年で3位以内が目標だった。「この5年、ものすごいスピードでチームが成長した」と米田純球団代表は感慨深げだ。選手の奮闘はもちろんだが、米田代表は成長の原動力の一つに「球団運営の安定」を挙げる。
 2005年、消滅した近鉄と新生オリックスからあぶれた選手を主体に誕生した楽天は、移籍組も含めた”多国籍軍”だが、それは裏方陣も同じだった。巨人を除くすべての球団から人材が参集し、出身母体のノウハウを出し合ったのだ。


最初はバラバラ

 「11球団の人がいれば、やり方もずいぶん違うんだな、と実感した」。かつて阪神で通訳を務めた佐々木亮人チーム統括本部長補佐は振り返る。遠征先の選手の食事一つとってもスタッフ間で意見が分かれ、創設1年目は場所を問わず話し合いの毎日だったという。
 食券を渡し、選手にメニューを任せる球団もあれば、きっちり管理した食事を選手、コーチが顔を突き合わせて食べる球団もあった。それでも「チームにとって最善は何かが基準だった」と佐々木補佐は語る。結局、管理栄養士の指導をもとにした食事を選手全員で取ることで落ち着いた。
 だが、寄せ集めから生まれた強さもあった。近鉄のスタッフを引き継いだスコアラー業務も様々な球団の手法が加わると、多角的な視点のデータが集まるという思わぬ成果。豊富なデータを選手が吸収できるようになったのも、クライマックスシリーズ(CS)進出につながった一因だろう。
 まさに「三人寄れば文殊の知恵」。多様な人材が額を合わせ、融和を図り、何がチームに最適かを御旗に掲げると、新たな知恵が出てきた。「寄せ集めの妙」とでもいうのか。


地域密着も強み


 「地域密着」も他球団出身の地道な活動で実りつつある。東北高出身で西武、近鉄に在籍した安部理氏らが中心になって東北の小中学生向け野球教室を、年に100回超開いて指導している。卒業生には、宮城県内の有力高校に進んだ選手も。地域のすそ野を広げ、将来楽天に入団を希望する選手を一人でも多く育成するのが目標だ。
 選手と同様、5年たって裏方にかつての球団色が薄らぎ、「楽天色」が出てきたのが、今年の好成績の背景にあるようだ。佐々木補佐は言う。「5年後、ほかの球団から『楽天の人材が欲しい』と言われるようになりたい」
 ゼロから立ち上げ、苦心して練り上げたチームのノウハウが、今度は球界活性化の一助になったときこそ、本当に「独り立ち」したと、胸を張って言える。(石原秀)


日経新聞 09年10月6日(火)より