放置自転車が山になった駐輪場、その向こうには田んぼ。

背後には駐車場と寂れた商店の跡地。何にもない駅に少女はいた。

風は土のにおいを含んでいる。静かだった。


「大丈夫か?何か飲むか?」

一緒に降りた男がたずねる。

「いや、大丈夫。ホントなんでもないんだって」

と笑って見せた少女の言葉に偽りはなかった。

それでも男は心配そうに顔を覗き込む。

少女が息をのんだ。


「おっちゃん、よかったの?」

「何が?」

「電車、なかなか来ないよ」

「ああ、そうだな」

男は線路のかなたに視線を投げた。

少女はじっと男の横顔を見る。

髪は短く切りそろえられているが、細い顎に無精ひげが生えている。


「おっちゃん、さっきのどう思う?」

「さっきって、あれか」

「そう、あれ」

少女の脳裏には白い肌とそれを撫でる男の手が浮かんでいた。

「興味があるのか?」

男の問いに、心臓が跳ねた。

知らぬ間に指が白くなるほどスカートを握りしめていた。


いつまでも黙っている少女の代わりに男が口を開いた。

「まあ、あれは下品だな」

「だよね」

少女の声は小さかった。

「ホントに大丈夫か?辛いなら横になるといい」

あまりに心配する男にこれ以上大丈夫と言えず、少女は膝に頭を預けた。

背を撫でる男の気遣いとは裏腹に、少女は痴態を夢想していた。


暇そうにしていた右手をつかまえ、中指を口に含む。

硬口蓋と下で擦るうちに、指が少女の体温と同化していく。

男が指を抜き取る。ちゅっと音が鳴った。

指は唾液を拭き取るように少女の唇を撫でる。

背を撫でていた手が胸に伸びた。服の上から柔らかく円を描く。

薄手のブラウスは下着のレースだけではなく、硬くなった乳首の形をも透かす。

円が小さくなり、それにつれ触れるのは手のひらではなく指先になる。

「やっ・・・」

堪え切れなくなった声とともに体が跳ねる。

男は少女の体を起こし、いとも簡単に持ち上げ膝に乗せる。

膝を跨ぎ脚を開いた少女は股間が濡れていることを自覚する。

男の手が腹を撫で、脚を撫で、また胸に戻る。

くすぐったいような、気持ちいいような、もどかしい快感に少女がまた喘ぐ。


「熱があるんじゃないか?」

と額に当たる男の手の感触で我に返った。

見知らぬ中年との痴態を夢想していた少女は、その感触だけで

想像上の快感を思い出してしまう。

「あのさ、さっきの・・・」

「ずいぶんこだわるんだな」

「あ、いやぁ・・・まあ」

「刺激が強すぎたんだろう。子供が見るようなもんじゃない」

「こども!?」

少女は飛び起きた。

「子供」というのは思春期の子供にとっては禁句である。

子供と大人の間である彼らは、大人よりでなければならないのだ。

「ちょっと来て!」

少女は男の手を掴んで物陰に引きずり込む。

逆鱗に触れたことに気づいたらしい男は黙って従う。

が、数秒後そのことを後悔した。


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はしょらず書けてるでしょうか。

明日に続きます。