黒澤明監督の映画から喜劇の「駅前」シリーズまで幅広く活躍した女優の淡路恵子(あわじ・けいこ、本名・井田綾子=いだ・あやこ)さんが11日午後5時24分、食道がんのため東京都港区の病院で死去した。80歳。東京都出身。 2度のパートナーとの別離、息子2人の死…。淡路さんの生涯は、つらい「別れ」の連続だった。11日夜、都内で報道陣の取材に応じた長男で俳優の井田晃一郎さん(52)は「母は強い女性で決して弱音を吐かなかった。大変な人生だったが、これからは、ゆっくり休んでほしい」と語った。 淡路さんは松竹歌劇団を経て昭和24年、黒澤明監督の「野良犬」で映画デビュー。33年ごろからは「社長」「駅前」の両名物シリーズにバーのマダム役などで出演した。「男嫌い」などのテレビドラマでも活躍。昨年11月公開の映画「四十九日のレシピ」にも出演し、存在感のある演技を見せていた。 私生活ではフィリピン人歌手のビンボー・ダナオさんとの間に、息子2人をもうけるも関係を解消。41年には俳優の萬屋錦之介さんと結婚し、2児を出産したが、萬屋さんの闘病やプロダクションの倒産などもあり、62年に離婚した。その後、三男と四男に事故と自殺で先立たれるなど、相次ぐ悲劇に見舞われた。 離婚後は芸能界に復帰し、舞台やドラマで活躍。テレビのバラエティー番組でも歯にきぬ着せぬ発言で親しまれた。 ◆映画監督の山田洋次さん(82)の話「高度成長期の裏で酒場で生きていく女性など、特徴のあるタイプの役を演じることができる、戦後の映画史で非常に重要な役割を担った人でした。華やかな人でしたが私生活ではお子さんを亡くされるなど、つらい人生でもあり、そういうつらい思いからもようやく解放されたのかとも思います」
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