前半の続き。


開演前の舞台上には、ドロシーが住む叔父叔母の家のセットがぽつり。
無彩色な家の中、ドロシーの鏡台だけがカラフルに色づいていました。

この日の終演後にアフタートークショーがあったのですが、
そのときに「最初のシーンでは、ドロシーの鏡台周りにしか色がついていなくて
ドロシーの居場所は鏡台の前だけだったけど、
ラストシーンでは、ドロシーの成長を表すように(ニュアンスです)
家全体に色がついている。」という裏設定を伺いました。
そういうサイドストーリーもいろいろ散りばめられてるようです。


ストーリーとしては、童話の「オズの魔法使い」そのもの。
カンザスの田舎町に住む孤児のドロシーは、妄想好きで飼い犬のトトだけが友達の女の子。
ある日竜巻に巻き込まれ、オズの国へと迷い込んだ彼女は
「家に帰りたい」という願いをかなえてもらうために魔法使いのウィズの元へ向かいます。
その道中で、脳みそが欲しいかかし、心が欲しいブリキの木こり、
勇気が欲しいライオンと仲間になって、一緒に旅をする。皆の願いは叶うのか?


舞台の暗転から出てきた田野ちゃんドロシー。
思わず笑顔になりました。なんだかオーディションや事前番組で観ていた分
「ドロシーしてる!」と嬉しくなってしまって。親心的な。笑

あと何より飼い犬のトトが可愛かったです。
大人しくて、最初はぬいぐるみなのかと勘違いしたほど。
最初の叔母さんの歌、歌詞を聴いてたら少し涙が出そうでした。
ドロシーよりも叔母さんの気持ちのほうが分かる…。もう少女では無いのでしょう。


キャストの方達について、
まず田野ちゃん。
序盤は眉をしかめた困り顔が多く、等身大の女の子の戸惑いや不安感が現れていましたが
徐々にはじけるような笑顔が増えていき、彼女の表情だけでもドロシーの成長が分かります。
表情が豊かというのは本当に大きな魅力だなあと思いました。

実際観ると本当に小柄で、無駄のない細く引き締まった手足が小気味好いほどよく動く。
ダンスの力強さは、ダンサーの方達に負けてませんでした。すごいなあ。
動きがパワフルすぎて、一回豪快にスカートがめくれてお腹まで見えてましたが。笑

彼女の若さも売りのひとつですね。
やっぱり10代の女の子の醸し出すパワーって随一ですね。
私たちには絶対出せない、あの年頃の子たちだけの特権。絶賛かよ。
でも、もう一人の主演の梅田さんは26歳らしいけど、とても評判が良いみたいなので
きっと田野ちゃんとは違う良さがいっぱいあるんだろうな。


かかしの佐賀龍彦さん。
後ろに居られた女性達が彼のファンだったらしく、
アイドルグループとかかな?と思ってたら、本業声楽家の方だったんですね。
動きも機敏でパワフルだったので驚きました。
ミュージカルは初めてだったらしいのですが
そんな感じには全く見えず、お芝居もステキでした。

ブリキ男の施鐘泰さん。
役柄としては、少し短気で男らしい彼ですが
アフタートーク時のいじられ方や、
本人ののんびりとしたちょっと天然っぽい受け答えを見て
こういうのがギャップ萌えか…と納得してしまいました。笑
皆さんに言えることだけど、本当に歌が上手で安心して聴けますね。

そしてライオンのエハラマサヒロさん。
舞台には、喋りが達者な芸人さんって必要なんだな、と実感させてもらいました。
アドリブなのか台詞なのか分からない部分でも笑わせてくれる、貴重な存在でした。
他の人のアドリブとは違うんですよね。自然でアドリブ感がないというか。
彼が舞台に居るだけで、安心感が違うというのはとても凄いことだと思います。
芸人さんって凄いです。こういうのも、実際観て感じなければ分からなかったと思います。

他にも、ウィズ役・陣内孝則さんの小粋でお茶目なところ。
南の善い魔女グリンダ役・小柳ゆきさんの圧倒的な歌声、出番が少なくてもっと聴きたかった。
西の悪い魔女イブリーン役・岡本知高さんの男性が出してるとは思えないハイトーンボイスと
良い意味での嫌らしさや気持ち悪さ。
北の良い魔女アダパール役・瀬戸カトリーヌさんのカラリとした明るさや
あっけらかんとした笑顔が、抜けてるけど愛されるキャラクターにピッタリでした。

仲宗根梨乃さん率いるダンサーの方々の群集は、こればかりは遠目に見たかった。
近かった分、迫力や臨場感は感じられましたが
きっと二階から見るとキレイだろうなあと思いました。贅沢な話ですね。
空飛ぶ猿たちのシーンは、こちらも身体が強ばるほどの迫力で、ちょっと怖くなるほどでした。

ダンスだけじゃなく、キャスト皆が目の前の階段をばんばん使うし、手を伸ばせば届く距離。
どんどん観客の間も練り歩いていくので、客席までがステージの一部な感じ。
観客も巻き込まれていくのは、普段の宝塚の舞台では味わえない感覚で新鮮でした。 



この舞台で、私3回泣きました。

ラストの「HOME」は泣くかなと若干は覚悟していたのですが
私的には、ライオンとドロシーの歌のほうがグッときてしまって
気付いたらボロボロ泣いてた。あの歌はダメだあ。
レインボーの歌詞で、ドロシーが空に手をかざしていくと軌跡が虹になる演出も良かったです。

そして、オーディションで唄っていたときは特に高音部分が危うかったけど
ヒヤヒヤして聴いていたのが嘘のような安定感になっていた「HOME」。
どこまで伸びるんだろうと驚くほどの素晴らしさでした。

オーディションの時よりも抜群に上手になっていて、
それは技術面だけじゃなくて、ちゃんと心に届く歌でした。
元々声がハッキリしていて聞き取りやすいから、歌詞も耳障りが良かったし
何よりも目の前にいたのは、ちゃんとドロシーだったから。
歌で感動して泣かせられるって凄いです、田野ちゃん!

そして、最後のカーテンコール。
田野ちゃんがとびきりの笑顔で出てきたときに、ぶわっと泣けてきて
私の立ち位置どこ?状態。ほんと見方がおかん。笑
最後まで疾走感のある表題通りのスーパーソウルフルなステージでした。


ただひとつ欲を言えば、もっと子供の頃に観たかったなと思いました。
大人も楽しめるとはいえ、こんなに純粋じゃないよなあ…と俯瞰で見ているときがあったので
感受性が豊かでスポンジのような頃に、感じ取りたかったです。
ウィズや魔女の言葉の大事さを噛み締め、ドロシーの成長を同じ目線で体感したかった。


それでも、人生初のスタンディングオベーションも体験して
あんなに良い位置で臨場感たっぷりに世界に浸れて幸せな時間でした。