☆☆☆☆★

 

2022年作品。

原作は高橋ツトムの漫画。というか、この作品自体が「スカイ・ハイ」のスピンアウトと言うか、「スカイハイ・東日本大震災版」という感じ。

連載中に読んでいたはずなのですが、何故か完走した記憶がなく、私が読まなくなったのか、作品自体が他の媒体に移ったのか?

ぶっちゃけ言ってしまうと、終盤はほとんど涙目でした。私、東日本大震災の映像を見ると、何故か涙が出るんですね。津波被害の当事者じゃないんだけど、あの映像をみると駄目なんです。この作品は、スカイハイの世界観に東日本大震災をかけあわせたものなので、やっぱりダメだったなぁ。最初からわかっていて、わかったうえで見たんだけど、それでも感情移入ハンパなかったなぁ。

そういう私の事情はさておき、作品としても面白かったです。とにかく女優たちの自己主張がバチバチいってて、すごい緊張感でした。

主演ののん、門脇麦は共に演技力においては定評のある若手女優。さらに三田佳子、寺島しのぶ、柴咲コウというベテランが顔を揃えるのですから実力派女優の共演どころか、食い合いと言っても過言ではありません。隙を見せたら呑まれかねない緊張感を、私は感じました。実際はわかりませんが、とても「和気あいあいとした現場」などとは想像もできません。それほど、鬼気迫る演技力でしたね、それぞれに。そんな中にあってAKB48出身の大島優子、見劣りするかと思いきや堂々とした演技で、ベテラン・実力派相手に、まったく引けを取っていませんでした。そこがまた、見どころといえば見どころでしょうか。

根っこはスカイハイですし、東日本大震災バージョンなので、テーマとしては重いです。それでも一つの映画作品として成立させているのは、原作者・高橋ツトムの実力と、出演女優たちの演技力の賜物だと思います。

個人的にはのん推しなので、やはり彼女の「憑依型女優」の演技力は凄いなぁと感じました。演技に説得力があります。それと、寺島しのぶの存在感は圧巻でした。清濁併せ呑んだ大人の女性の強さを感じました。夫である永瀬正敏の不甲斐なさが、さらにそれを引き立てていたんだから、そういう意味では永瀬正敏の演技も素晴らしいと言うべきなのか(笑

東日本大震災の被災者には、ぜひ見てほしいし、東日本大震災と関係ない人にも一つの作品として見ていただきたいです。宮城県民としては、馴染みのある場所がいっぱい出てくるので、「あの場所!」って探しながら見るのも楽しいかな。