☆☆☆★★

2017年公開。連続殺人を扱った映画なので、面白かったと言ったら不謹慎だけど、見応えのある映画でした。
家族や関係者の目の前で犠牲者を絞殺、さらにその様子をビデオにおさめるという残虐で猟奇的殺人事件が起きる。犯人逮捕に至らぬまま時効を迎えるが、最後の事件から22年後「自分が犯人だ」と名乗る男が告白本を出版。さらに派手なパフォーマンスでメディアを席巻する。警察もマスコミも世間も振り回す男・曾根崎。彼の目的は一体何なのか?当時の担当刑事だった牧村と、社会派情報番組の人気キャスター仙堂が謎に迫る。
物語の中で22年前は阪神大震災が起こった年。牧村の妹は神戸で働いていたが震災により、恋人共に兄の元に疎開してくる。当時、牧村は連続絞殺犯を追い詰めており、犯人は牧村をターゲットにした声明を発表。妹とその恋人の身を案じた警察が牧村のアパートに向かうも、犯人のしかけた罠により牧村の先輩刑事が殉職。さらには牧村の妹も行方不明に。これを期に犯行はピタリと止まるが、警察の必死の捜索にもかかわらず手がかりは一切掴めぬまま時効を迎えてしまう。妹の行方がわからぬまま時効を迎えたことで最愛の女性の手がかりを失ったことに絶望した恋人は、牧村の制止も聞かず目の前で飛び降り自殺をしてしまう。牧村にとっては、そんな因縁の深い、許しがたい相手だった。そんな牧村の気持ちを知ってか知らずか悠然と振る舞う曾根崎は、テレビ対談の相手に牧村を指名する。
しかし対談の直前、自分こそが真犯人だと名乗る電話がテレビ局にかかってくる。これは真実なのか?それともイタズラなのか?混迷を極める中、曾根崎・牧村・仙堂・自称真犯人の4人による生中継の対談が始まる。

謎解き要素もあるのでネタバレしませんが、途中で「ひょっとして曾根崎は真犯人ではないのでは?」と思ってしまいました。そうすると犯人としてアヤシイのはアイツか?時々、まったくストーリーに絡まない登場人物がぽっと出で犯人でした、なんてつまらないオチもあるけど、たいていはそれまで画面に出ていた登場人物のうちの誰かだったりするんですよね(笑
まぁこの方、他の映画でもそういう役をやってるし、そういう役をやらせたら天下一品の胡散臭さ(笑
曾根崎役の藤原竜也も、牧村役の伊藤英明も、胡散臭いっちゃ胡散臭いけど(笑
他の登場人物は、遺族の書店員に夏帆、遺族の暴力団組長に岩城滉一、遺族の医者に岩松了、情報番組キャスター・仙堂に仲村トオル。
私は個人的に死刑も私刑も反対ではないので、法で裁けないとか、非人道的な残虐な殺人犯とか、許せない気持ちはわかるし、すごく感情移入して私自身が欝な気分になったりしてしまいます。こういう映画に出てくる被害者・遺族が犯人に対して「殺してやる!」って気持ちになるのはわかるし、むしろ「作り物」の世界でくらい、その気持ちをかなえてあげたい、溜飲を下げてあげたいって気持ちにさえなります。実際には映画の中でまで法律や倫理観が優先されて、なかなか「必殺仕事人」みたいな展開にはならないんだけどね。本当は、そういう他人に危害を加えるような歪んだ精神状態にならない世界が一番必要なんだろうけど、理想を言っていても無理な話しだし。だからこういう映画もできるんだろうし。
元ネタは韓国映画だそうですけど、ちゃんと日本の感覚で再構築されたのかな?違和感は感じなかったけど。